帝国の野望とBladesと遺跡とキノコ


 指示書によれば、「South Wall」というお店にいけばCaiusの居場所が分かるそうなので、早速行ってみた。中には何だがワケありな人がいっぱい。それもそのはず。ここ、盗賊ギルドの根城みたいなのだ。恐る恐るCaiusについて聞いてみたら、「オーナーのBacola Closciusに聞けば分かるよ」と意外に気さくに教えてくれたので、さっそく聞いてみる。

「Caius Cosades? ああ、老Caiusなら北の角の丘の上に小さな部屋を借りてるね」

 と、階段上がってどこそこの方向に行くんだよー、と親切に行き方を教えてくれた。ちょっと警戒していたのだが、何だか拍子抜けである。


 その前に、あちこち見て回ることにした。服の店にいって、キレイなローブを買ってみた。あまり無駄遣いはしたくないんだけれど、以前は絶対に着ることが出来なかったものだ。どうしても、という気持ちが強くてつい買ってしまった。まあ、人に会うんだからおしゃれの一つや二つしていったほうが礼儀と言うものだろう。


 しかし、問題のCaiusはこっちの礼儀を台無しにするような格好・・・。
 ええと、Skoomaのパイプは転がってるし、Moon Sugarは机の上にぶちまけられてるし、明らかにヤバげな人物なんですが・・・本当に皇帝がこの人に会いに行けって言ったのかとかなり疑問に思えてくる。

「あのー、あなたがCaiusさんですよね」
「あんだってえ? そーだ、私がCaius Cosadesだ。Skoomaに悩まされてる一老人だよ。何かね、報告? なんのことだ?」

 えええええ? ちょっとちょっと、と混乱しながらとりあえず俺の名前を告げて小包を押し付けた。もちろん未開封のものをだ。

「そうか、お前の名前はYui-Liというのか、それで、小包を届けるように言われたわけか。読ませてくれるかね?」

 もうさっぱりなのだが、とにかく首を縦に振ってみた。ここで追い出されたらどうしようなんて思いつつ。
 荷物の封を破って麻薬でとろんとした目で、中から文章を取り出して読んでいたようだが、急に目つきと口調が変わった。

「了解した。極めて興味深い。皇帝陛下は君にBladesのNoviceランクになって欲しいそうだ。私の命令に従え、と言うことだよ。用意は出来ているかね?」

 え? ぶれーど? なんすかそれ・・・。

 自分で言うのも何だが俺は世間知らずだ。奴隷として子供の頃からコキ使われてたんだからまともな教育なんて受けていない。何とか読み書き程度なら出来るんだが、それまでである。社会の仕組み? なにそれ美味しいの? レベルだ。

「お金とか貰えるんですか? だったらやります」
「そうか。ようこそ、NoviceのYui-Li。今より君はBlades所属だ。我々はこの地域において、皇帝の耳であり目である者。休みたいなら私のベッドで休んでいいが、私の私物を持ち出すなよ」

 そんな感じで、Bladesのトレーナーとかを紹介してもらった。結構な人物がBalmoraに住んでいるらしい。Seyda Neenにも、酒場を切り盛りしてる人がBladesなんだそうな。益々持ってぽかーんとしてきた。皇帝の目で耳で、それが何で元囚人の俺なんだろう? こういうのは普通、信頼のある人に任せるもんじゃないんだろうか・・・。

「えーと、それで命令についてなんですが・・・」
「まずね、新人君。二百あげるから武器なり鎧なり呪文なり、他のことに使うなり有益なことに使いなさい。それに、身分もあったほうがいいだろう。無職じゃアレだしな。Bladesは世には出ないものだ。ギルドとかあるから好きなのに入りなさい。もしくはフリーの仕事を請け負うのもいいだろうがね。手ごたえを感じたら戻ってくるように」
「はあ・・・」

 とにかくさっぱりなのだが、お金貰ったし、呪文をそこそこ扱えるし、折角だからメイジギルドに行ってみることにした。


 支部長のRanis師に言って、入会させてもらう。何か仕事を請け負ったらそれをこなさなくてはならない義務はあるが、それ以外は自由。まあ、ケンカしたりとかモノを盗んだりとか駄目だよー、とかはあるが。支部長直々の仕事はペーペーの俺には無いので、ここで働いている錬金術師の人を補佐するように頼まれた。


 KhajiitのAjiraさん。Journeymanランクになるために地域のキノコについての研究をしているらしい。Bitter Coast沿いに生えているLuminous Russula、Violet Coprinus、Bungler's Bane、Hypha Faciaの四種を採って来て欲しいそうな。Seyda Neenにも生えているんだが、ただ、出発前に盛大に採って来てしまったので、そこで捜すよりも別の場所で探したほうがいい。


 早速、荷物を纏めて出発進行! AjiraはRiver Odaiを南下して折り返すというかなり長いコースを教えてくれたのだが、惑わされてはいけない。Balmoraの西の山を一つ越えればいい。浮遊魔法やポーションがあればすぐ往復できるだろう。Ajiraには悪いが、言う通りにすると長く時間がかかってしまう。


 おー、生えてる生えてる。早速ポケットに詰め込んで、西の山を越えて街に入った。


 ついでにあちこち見て回ったんだが・・・凄い雰囲気の事務所に来てしまった。いかにもな所である。それもそのはず、暗殺者たちが集まってるところなんだそうな。だけれど、別に因縁つけられて金を毟り取られたりはしない。見学は自由。殺しやってるのに街中に堂々と事務所があるなんて凄いなーと思ってると、女の人に声をかけられた。

「どうかしら? 怖い?」
「いやあ、真っ赤なんで。でも、どういうところなんですか?」
「あら。Morag Tongは昔っからの伝統的なDunmerの暗殺者たちのギルドよ。請け負う暗殺の種類は三つ。世のため人のため、そしてHouse Warのため。けれどここでは入会は受け付けてない。そのようなスキルと信頼が無ければね。Vivecに住んでいるグランドマスターのEno Hlaaluだけが窓口になってるわ」
「へえー」
「本部を見つけるのは困難よ。つまり、入会そのものが試験。ま、こういう仕事をしているんだもの、そうほいほい新参者を受け入れるわけには行かないの。本気で入りたいのなら、Vivecに捜しに行くといいわね」
「ありがとうございます」

 殺しか。世のため人のためって言ってたけど、そういう面もあるんだろう。徴税人の殺人事件や、密売人たちの巣窟で暴れたことを思い出した。Morag Tongのこと、覚えておこう。

 Ajiraにキノコを渡すと、お礼にポーションをくれた。早速レポートに取り掛かるみたいで、俺は邪魔をしないようにそっとギルドを出ると、Caiusの家に向かう。


 指令の内容はこうだ。戦士ギルドのHasphat AntabolisがNerevarineの秘密教団と、Sixth Houseの秘密教団のことを知ってるからちょっと情報貰ってこい、だそうだ。その際にちょっと仕事を請け負わなくてはいけないらしい。彼はMorrowindの歴史に通じているらしく、君も勉強しなさい、と本を貰った。
 Nerevarineは、両親が不明の追放者。特定の日に、親の顔を知らずに生まれてきて、いつか全ての部族とDunmerを統一してMorrowindの侵略者を駆逐し、Dunmerの国の昔の法と習慣を復活させるんだそうな。Nerevarineは大昔に死んだDunmerの将軍でCouncilor筆頭のLoad Indoril Nerevarの生まれ変わりなんだと。


 Sixth Houseは、Caiusの情報筋によれば秘密教団で、最近の奇怪な出来事によって組織されており、情報筋さんはこの騒動がNerevarineの予言によって解決するんじゃないかって考えてるそうだ。その予言とは、野蛮なAshlanderの詩の習慣や歴史の中にあるものだ。Wise womanの夢や幻視に基づくもので、Nerevarineの降臨を予言している。だが、その予言の内容はよくわかっていない。俺にとっては「最近の奇怪な出来事」なんてよくわからないし、NerevarineとかSixth Houseとか、さっぱりだ。何でこんなものを皇帝は(省略)と思う。


「こんにちは、Caiusが送ったんだろ? Caiusは情報が欲しいって? 勿論、ここにあるよ。けれど、やって欲しいことがあってね。それが終わったら教えてあげよう」
「何ですか?」
「まあまあ落ち着いて。歴史をうだうだ喋って退屈させたくは無いからね。でも興味があればこの本を読むといいね。ま、君のような冒険者は最近の出来事が気になるかもだけど。誰が誰と争ってるのとか。Great Houseはお互い争いあってるし、Templeは反体制派の異端派僧侶を殺そうとしてる。Ashlanderは放浪して行商人や巡礼者を襲うし、秘密教団は帝国人を殺して回っている。物騒なことだ。けれども、本当に大変なのは、Blightだ。魔物と病気さ。現地の人たちは、Red Mountainが原因だと言っている。何年もこの問題は続いているんだけど、悪いことに何ともなっていないのさ」
「へえー。そんで、やって欲しいことって何?」
「Dwemerの遺跡が近くにあってね、Arkngthandというんだけど。そこに『Dwemer puzzle box』という小さなキューブがあるから、取ってきてほしいんだな。そうすれば教えるから」
「わかりました」

 『On Morrowind』という本を受け取って、俺は遺跡に行くことにした。


 天気は上々。気分も上々。広いところを、枷をつけられずに歩くって本当に気分がいい。ええと、橋を渡った近くにあるんだっけ。


 橋・・・って、うわああああああああ!!!!!(;゜д゜)


 魔法をぶっ放してきやがったので、回避しながら砦まで逃げ込み、魔力切れのところをボカスカして何とかなった。ああ、怖かった。


 気を取り直して、ここがDwemerの遺跡。手前のクランクを操作すると、入り口が現れる仕組みになっている。


 中はとてつもなく広い。最初のホールだけでかなりの空間がある。


 そして、野盗どもの巣窟になっていた!


 それでも、何とか倒してDwemer puzzle boxを頂く。ついでに、その辺の高そうな遺物やら何やらを包んで持ち帰る。


「完璧だ。これこそ私が捜していたものだよ。さあ、Dwemer Puzzle boxをこちらに。Caiusが欲しているSixth HouseとNerevarineについて教えよう」
「じゃあ、Sixth Houseについて」
「House Dagothがそれだよ。『失われた』六番目の家。第一紀にね、House DagothはWar of the First Councilの戦いで滅ぼされた。裏切りでね。他に質問があるなら、Caiusにあげるノートに書いておいたから。House DagothはDunmerのGreat Houseの七つの家の六番目でね、そこの家の者は、他のGreat HouseからWar of the First Councilで殺されるか追放されるかされた。Sixth Houseの終焉について説明を読みたいなら、安価な本があるからね。『The War Of The First Council』、『Saint Nerevar』、『Nerevar Moon-And-Star』、『The Real Nerevar』だよ。本屋に行って見なさい」
「わかりました」
「Ashlanderは、生まれ変わったNerevarがDunmerを統一して侵略者を駆逐し、古代のDarkElfたちの国家を再築すると信じている。Nerevarは伝説的な英雄でTempleの聖人だ。しかし、Templeはその予言を否定し、Nerevarineを信じている者を異端として迫害している。Caiusに、Sharn gra-Muzgobが土着の宗教と迷信について造詣が深いことを教えると良い」

 ふんふんと頷きながら、メイジギルドに戻って先にノートを読んでみた。

(以下は、Hasphat AntabolisによってCaius Cosadesに用意したメモである)

 Sixth House

 House Dagothが、滅ぼされたGreat Houseである。House DagothはRed Mountainにおける古代の戦争において、その指導者が反逆を企んだという不名誉を負った。多くのHouse Dagothの者がHouseを守るために死んで、Great Councilに忠実な生き残りは、他の家々の間に散っていった。Templeは、Dagoth Ur地区のRed Mountainの地下に潜む、古代の伝説的で邪悪な存在がこの絶えた家の最初の指導者であり、幾ばくかの強力で邪悪なソーサラーによって支えられていると宣言している。

 参考文献
 これらの本が、Sixth Houseとその終焉についての言及を含む。Commercial Districtの本屋Dorisa Darvelが写しを持っているだろう。

『THE WAR OF THE FIRST COUNCIL』
『SAINT NEREVAR』
『NEREVAR MOON-AND-STAR』
『THE REAL NEREVAR』

『Hasphat's Notes for Cosades』

 ・・・こんだけかよ。結構大変だったのに・・・。


 とにかく、ノートを持っていって、聞いたことを話すとCaiusはそれを読み始めた。とはいえ、Caiusから聞いた説明から大きく何か進展があるわけでなし。まあ多少詳しいことを聞けたかな、と言う程度だ。それについて色々考えているようなので、適当に遊びに行くことにした。


 遊びといっても、遺跡に潜ることなんだが。うん、遺物を集めると結構お金になるし、折角だから探検してみたい気にもなって。奥に、厳重に閉ざされた扉があったから、向こう側を探るのが楽しみである。

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(2008.5.7)