メイジギルドの暗殺指令
Bowlを渡すと、もうAjiraの仕事は無くなったそうなので、Ranis師にこれからどうすればいいか話を聞くことにした。師は、能力の高さを見込んで俺をJourneymanにまで昇進させてくれて、仕事を申し付けてきた。
「誰かに、かつてTelvanniだった人に我々のギルドに入るように説得して欲しくてね。それに、Manweのギルドへの会費を集金して欲しい。どちらも近い場所にいるから」
「Telvanniの人に仲間になれと?」
「そのTelvanniの名はLlarar Bereloth。Sulipundに住んでいる。仲間になるという説得に失敗したら殺すこと」
いきなりアレな指令が下された。いくらTelvanniとメイジギルドが仲悪いっつったって・・・。
「会費というのは・・・」
「Manweは何年も会費を払っていなくってね、今では2000ゴールドも滞納しているの。伝聞ではLlarar Berelothの住んでいるSulipundの近くにあるPunabi洞窟で何かを研究中らしい。もし彼女から会費を集金できたら、報酬を支払いましょう。さもなければ、殺してしまいなさい」
うーん・・・。何というか、アレだなあ。
魔法使いは自己中の塊らしいけど、自分の思い通りにならないなら殺せってちょっと過激で短絡すぎやしないだろうか・・・。確かに、暗殺は物事を解決する手段ではあるのだけれど・・・。
ここがSulipund。Nabia湖の近くにある館だ。火山地帯が近くにある不毛の地と言うことを除けば、風光明媚な場所。
この人がここの頭。他にも人がいて、「何しにきたんだ」という痛い視線をビシバシ浴びて泣けてくる。当の本人に至っても、上から目線で危機感無し。
「戯言を。会費が欲しいなら他の誰かから貰うことだ。もしくは、お前の戯言に何か耳を傾けることの何か一つでもあるのかね?」
「いや、メイジギルドは無所属の魔法使いにとても気を配っていまして、是非力のあるLlararさんに入会していただきたいと・・・それに、今此処で当方が立ち去っても他にギルド員が勧誘に来ると思われますし・・・」
ということをいいながら、さっと200ゴールドあまりを差し出した。
たちまちLlarar氏の顔はほころんで、ギルドに入ることに同意してくれた。
「もし入会に同意すれば私の研究を邪魔しないでくれるのかね? よろしい。それでは、次にBalmoraに行った時に入会してこよう」
平和的に終わって良かった、と思いつつ、次の場所を目指した。
場所は歩いてすぐ。
綺麗な場所に住んでるようだが、家としてはどうなのか。
ほら、Ranis師がすっごく怒ってるみたいで、会費払わなかったら殺せって言われてるんだよー、と説得する。小銭を差し出しながら。
「2000Septim払えば一人にしておいてくれるのね? 今研究中で手が離せないのよ。はい、お金。それじゃあ作業に戻るから一人にしておいてね。私たちはここですっごく大事な研究をしているの。私の仲間を邪魔したらタダじゃすまないんだから」
奥を覗いたが、Fire Atn・・・。あれが同僚なんだろうか。なにはともあれ、刺激しないうちにすごすごとRecallでBalmoraに戻った。
「よくできました、Yui-Li。彼は恐らく、Telvanniについての情報を漏らしてくれるでしょう。私もあなたの助力になにか相応なものを上げなくてはね・・・これらのポーションを取りなさい。会費の問題については?」
「これが会費です」
「よろしい。Journeymanとしての最初の仕事としてManweyから会費を貰ってきたとはね。頼もしいわ。1000ゴールドあげましょう」
何はともあれ、殺さずに済んで良かった。お金を貰えたので結果的に収支も黒字になったし、Ranis師も俺を信用してくれたようだし、万々歳だ。
だが、師の話はこれで終わらなかった。
「疲れているところ済まないけれどね。今度は街中ですから大丈夫。South Wall CoenerclubのArgonianがギルドの認可を得ずに回復魔法のトレーニングを開いています。非公認のトレーニングを止めさせなさい。同じArgonianとして、話もつけやすいでしょ」
言外に、「命令に従わなかったらナウユーダァーイしなさい」と言っているように聞こえたんだが・・・。ともあれ、South Wallに向かう。いいんじゃないの、別に・・・とか思うが、ダメなのかなあ。いくらギルドの権益守りたいっつっても、ちょっと強権的過ぎやしないだろうか・・・。
Argonianは一人だけなのですぐに見つかった。ともすれば場違いな、上品な出で立ちをしている。こりゃ目立つわな。早速、小銭を差し出し話を伺ってみる。
「もし、仮にですが、Ranis Athrysのところに戻って彼女に非公認のトレーニングを取りやめることに同意したとする・・・そして、見返りに良き友人であるYui-Liにトレーニングを施すとする。これでどうかな?」
「わかりました」
「よろしい。Ranis Athrysに報告し終わったらあなたにもトレーニングをしましょう」
Ranis師曰く。
「よろしい、我々は、ギルド外の誰にも魔法のトレーニングを許可しないのです」
だって。多分、トレーニング代の一部を認可と見返りに上納してるってことなんだろうけど。ちょっとなあ。師のやり方は好きじゃない。
三日ほどDrenさんに神秘魔法をまったり教えてもらっているうちに、またRanis師が俺を手招きした。
「学者のItermerelがPelagiadまでのエスコートを捜していますが、私は彼のノートが欲しいのです。ItermrelはBalmoraに到着したばかりで、この辺りのことが良くわかっていません。PelagiadのHalfway Travenまでのエスコートを捜しています。彼のことはどうでもいいのですが、ノートの写しが欲しいのです。Eight Platesで待っていますよ」
う・・・事故や喧嘩にみせかけてごにょごにょしてしまえと言われているような気がしなくもないのだが。高圧的で自分のことしか考えていないのって、奴隷時代の主人を思い出すなあ・・・こうなったら意地でも学者さんを助けよう。
Altmerの学者さんは、Ranis師の意図に全く気付かずのほほんとしている。武装している俺を見て、とっても頼もしそうに見ているくらいだ。
Sharnさんの頼みを引き受けたときは、お金も無かったので徒歩でBalmoraからPelagiadに向かったのだが、地図的にはSeyda Neenからの道が近い。Balmoraに着いたばかりで疲れているだろうし、丁度お金も手に入ったので、奮発してより安全で短いSeyda Neenからの道を行くことにした。
その間、あれこれ学者らしい面白い話なんかを聞くことが出来て、全然退屈だと思わなかった。Oblivionの研究をしているらしく、聞いた中では神様の話や、Artifactにまつわるが一番楽しかったなあ。
「Pelagiadまでエスコートしてくれて感謝する。Evokerとしての責務をしっかり果たしているねえ」
「そういえば、何か研究してらしたってRanis師が言っていたのですが、興味があるらしいですよ」
「ほう、誰も私の研究に目を向けなかったものだが。約束も果たしてくれたことだし、感謝の印に写しを一部あげようか」
Itermerel's Note
Oblivion Streamsの永続性に関するメモ
Oblivionの潮流においてのDaedronsの多様な流れは、様々な場所におけるMagickaの複雑性に重大な影響を及ぼすであろう。Magickaの使用により、しばしば流れ自体に影響を引き起こす。Daedronにおける両極性を変動させることで、以下の場合、潮流を操作、追跡することが可能である・・・。
(メモは、しばらくこの主題について論じている)
「ノートを持ってきましたか、メイジギルドでもっと功績を上げるでしょうね。それはそうと、Maar Ganに住んでいるTashpi Ashibaelという者が死霊術を扱っているようです。Maar Ganに行って彼女を見つけて殺しなさい。メイジギルドは死霊術師の存在を許しません」
死霊術か・・・。死霊術そのものは違法ではないと考える者もいるが、扱っている人物が問題である。一回Ald'runで乗り換えて、Maar Ganに入った。Balmoraと違い、ここはRedranが支配しているようだ。ガードに聞くと、Templeの近くに家を構えているようだ。
すいませーんと入ってきた客人を見て、あらどうしたのかしら、とTashpiさんは俺を出迎えた。さりげなく周囲を見回してみても、肉片とか、血糊とか、骨とか、そんな死霊術師らしいものはない。その辺に置いてあった本も、Templeに関連する本だ。メイジギルドから回復魔法のことを教わりに来たというと、親切に色々参考文献なんかを挙げてくれた。そろそろ、という頃合を見計らい、話を切り出す。
「ところで、死霊術を扱っていると聞いたのですが・・・」
案の定と言うべきか、その言葉に彼女はひどく驚いた。人相も悪くないしねえ。
「死霊術? 絶対に死霊術師なんかじゃ・・・誰が私を死霊術師だと?」
「Balmora支部のRanis師が」
「まあ、分かりました。メイジギルドへの入会を渋ったからでしょう。メイジギルドのしがらみを離れて人々を癒す道を選んだのです。私はVelothiの民で、Ranisのように良い生まれではありませんが・・・ああ、それは今重要なことではありませんでした。この状況を何とかしなくては」
「どうするつもりなんですか?」
本当に死霊術師なら、この時点で俺を襲っているはず。ここはTashpiさんの言葉を信じる。
「Ranisがこのことをうだうだと考えていたのならば、本島を離れるのが一番でしょう。ヒーラーを待ち望んでいる多くの町があります。Ranis Athrysには、私が死んだと伝えて下さい。Vvardenfellを離れれば、Ranisの目も届かなくなることでしょう」
「わかりました。お元気で」
ギルドに所属すると言うことは、そこに縛られるということにもなるのか。縛られたくないと言っても、ギルドは在野の魔術師を良く思ってはいない・・・。
「本当に彼女が死んだ? 私の・・・ギルドのために、良く仕えてくれました。この巻物が他の死霊術師を見つけた時に貴方を助けることでしょう」
Ranisは魔術師の過激で攻撃的、独善的な一面を象徴しているかのようだ。二束三文で人を殺せと言う。殺人は最終的な手段であるべきなのに、あまりに軽く使いすぎているきらいがある・・・。
「メイジギルドにTelvanniのスパイが潜り込んでいます」
「スパイ?」
「ここは私が押さえているので大丈夫ですが。Ald'ruhn、Vivec、Sadrith Moraのどれかにスパイがいるはずです。見つけても何らかのアクションは起こさず、私に報告するように」
うーん、今度はスパイか。
今度も師のパラノイアじゃないかと思ったのだが、Ranisを良く思っていないAjiraも今度ばかりはRanisが正しいと考えている。どこから行くべきかと思って地図を広げたが、Sadrith Moraの支部は小さくて、しかもTelvanniの足元であるので、そこに行って見ることにした。一番入り込みやすそうであるし、支部の人に聞けば、足元だから何か知っているかもしれない。
帝国の砦の一室をあてがわれている小さな支部がSadrith Moraのメイジギルドである。
一人一人に話を聞いていって、最後に、薬を作っていたSkink-in-Tree-Shade師に話を聞いてみると、情報をゲットすることに成功した。
「Telvanniのスパイ? ああ、一人はいると思うね。どこの誰かまでは知らないが。Sadrith Moraは標的としては取るに足りないが、私ならVivecを捜してみますね。ギルドの方針が下される場所なので」
ギルドの中心に居座っているとは。だがまあ、スパイである以上、効率的でもある。Telvanniとメイジギルドは敵対関係。身元も厳しく調査されるらしい。俺はすんなりだったが、まあ、ArgonianがDunmer保守派のTelvanniに関係してるなんて誰も思わないよなあ。何はともあれ、今度こそRanisの考えが合っているらしいので、早速Vivecに飛ぶことにした。
話を聞いてみると、Arch-MageのTrebonius師に言うようにと言われたので、早速Ranis師の紹介でスパイを捜していると告げた。
「ええ? Yui-Liや。Telvanniのスパイなんてここにはいないよ。心当たりも無いしねえ。私はArch-Mageなんだよ。そういうことは私のDunmerのアドバイザーのTiram Gadarがスパイを見張っていて、その手のことを考えているのさ」
下っ端の分際で私の時間をとらせるんじゃないというオーラをプンプン出していたのだが、一通の手紙を貰った。
「彼は凄く尽くしてくれてね、Yui-Liや。私があらゆる決定を下す時、Dunmerの立場から助けてくれるんだよ。それに、これ以上無いという方からの紹介状もあるしね」
「紹介状ですか」
「色々届くんだけどね、その手のものは。ああ、あった、持って行きなさい、Yui-Liよ。Ocato直筆の手紙だよ」
その辺の机をがさごそやって、俺にくれた。早速、椅子を借りて読んでみたのだが。
Tiram Gadar's Credentials
Arch-MageのTrebonius様へ。
この手紙を預かってきた者はTiram Gadarと申します。Dunmerではございますが、彼は帝国領で育ちました。Vvardenfellの地で、Dunmerとしての政治的見地から、アドバイザーとして推薦いたします。
敬具
帝国のバトルメイジ、Acattoより。
・・・Ocatoじゃなかったっけ?
ほー。
「まあ、これが探していた確かな証拠の品ですわ。良く働いてくれました、Yui-Li。Treboniusのような権力欲のある愚かで底の浅い者がギルドを運営していたなどとは、恥ずかしい。この紹介状は近年まれに見る最低に下手糞な偽物です。Ocatoの名前さえ間違っているのですよ。この巻物とダガーをギルドを助けるためにとっておきなさい」
そう言って、師はGolden Saintを召喚する超イカす巻物と、Daedric製と思しきSoul Trapのかかったダガーをくれた。どちらも物凄く高価な代物だ。
「Treboniusは帝国人です。Dunmerのことや、政治のことなど何もわかってやしない。彼と話すときは、首を縦に振ってにこにこ笑って、言ったことは全部聞き流すように」
物凄い言われようである。でもまあ、俺でも気付いたスペルミスにも気付かなかったほどなんだから、相当アホであることは確かだよなあ。
ともあれ、これ以上Ranis師の仕事は無いようだったし、このままギルドにいたら、また私怨による暗殺指令を飛ばされそうだったので、Caiusのところに避難することにしたが、街を歩いているとDunmerの男に腕を掴まれた。
「Red Mountainの地下で、Load Dagothはお眠りなさっている。しかし、あの方が目覚めたら、我々も皆起き上がり、塵が吹き渡るだろう。お前の主に仕えよ。Dagoth Urと、Sixth Houseがお目覚めになり、Dagothは栄光の中にいる」
「Dagoth?」
「あのお方は主君にしてRed Mountainの父。お眠りになているが、起き上がった時、我々も夢から覚めるであろう。我々の国を取り戻し、侵略者を掃除する。どうしてあの方を否定する? Load Dagothはこのように仰った。『全ての者は肉となり、塵となる』。Sixth Houseは眠りしHouseであるHouse Dagothであり、Load DagothのHouseにして、正しきHouseである。このHouseが全ての正しきDunmerを歓迎し、愚か者を国から追い出すだろう。聞け、よそ者よ。その日はあと指折り数えるばかりに迫っている。お前に出来ることは、Load Dagothが至りし時、我々の場所から去ることだ。お前の場所など無い」
えー? 大丈夫かこいつ・・・。Dagothって確か昔に滅ぼされたHouseだろー。そんなのが復活するんだろうか?
さっぱり分からないなあ、と頭をハテナマークで満たしつつ、俺はCaiusの家に飛び込んだ。
戻る
進む
(2008.5.16)