北端の外国人居住区から南端(の一区画手前)にあるTempleのHall of Wisdomに行くには、船が早い。市内の移動なので、船の料金もとてもリーズナブル。そう。Milo司祭を尋ねることにしたのだ。Addhairanirrって中々見つからないみたいだし、それならばまず所在の明らかな人から見つけたほうが良い。
「うわー」
ぷかぷかとお空に浮かんでいる岩を見りゃ誰だって俺と同じことを言うはず。
なんでも、あれはMinisty of Truthといって、Ordinatorの詰め所と、監獄も兼ねているらしい。空中浮遊要塞ってヤツである。空中浮遊要塞。カッコイイ響きだ。(馬鹿)
「いいでしょう。Sixth House教団のことは存じませんが、Nerevarine教団についてなら存じています。TempleはNerevarを聖人である英雄として崇拝していますが、彼が生まれ変わってくるという予言は邪悪な異端信仰であるとして、処罰の対象です。Nerevarine教団はTribunalが偽神であり、それ故にTempleはNerevarine教団を迫害していると主張しています。反体制派司祭と呼ばれる派閥はTempleのNerevarineの予言についての教理を検討しています。禁書『Progress of Truth』には彼らの信条が書かれています。『Progress of Truth』をCaius Cosadesに一冊持っていきなさい。それがNerevarine教団についてあの人が知りたがっていることを教えてくれるでしょう」
「Nerevarine教団についてはそれを読めば良い、と」
「言ったように、反体制は司祭は『Progress of Truth』という本を著しました。Nerevarine教団への考えの、彼らの視点が分かるでしょう。Nerevarineの迫害については、Ashlanderの教団は――Templeでは野蛮な迷信だと。Nerevarineたちは、Tribunalは偽神と言っています。どうしてTempleは彼らの撲滅に力を費やしているのか私には全く理解できません。信心深い方をこのような迫害で揺さぶるべきではないでしょうし、Ashlanderは、文明化されていない無知な者に過ぎないだけと思うのですが。しかし、Templeは帝国に従っていますし、Dunmerたちの間では宗教心が薄れつつあります。Templeの軍事派は異端信仰や野蛮人を弾圧すべきとの論調で激しく膨れ上がっているようです」
「反体制派司祭ってどんな人たちなんですか?」
「反体制派司祭はTempleの主義を検討し、追放され、Templeに迫害されています。Ordinatorが異端派を逮捕、拘束し、帝国は傍観しています。『Progress of Truth』には、彼らの信念が列記されています。簡単に言えば、彼らはTribunalの潔白さや神性に異議を申し立てていますし、彼らの力や魔力が、神聖なものではなく、もしかしたらDagoth Urの力と同種のものではないかと推測しています。彼らはまた、Ordinatorの専制的権力を非難し、Templeの高僧の利己心や腐敗を告発しています。その本はTribunalの教義について反体制派司祭が異議を差し挟んでいるものです。Templeはその本の売買や所持を禁止していますので、見つけるのは難しいでしょう。ここに一冊ありますが、ここでは私はOrdinatorに監視されているのではと疑っています。より安全にいくには地元の書店を回ってみることです。何人かの本屋は、お金のためか信条によるものか、Templeの禁書禁止令を無視しています。」
「監視・・・って、大丈夫なんですか」
「Templeの政治的方針には興味ありません。しかし、『Progress of Truth』を読んだことで、迷うようになりました。私には友人がおりますが、かつては僧侶で、行方知れずになりました。よって、Ordinatorの注意を引くようになったのでしょうね。気をつけてはいますが、恐れています。私は貴方やCaiusのような諜報員ではありませんし、遅かれ早かれ、私も失踪するでしょう。まだここにはいられますが。Caiusの所に戻ったら、私は恐れていて、不慮の事態が起きたら事前に取り決めた『amaya』という暗号が書かれたメッセージを残すつもりだと伝えて下さい」
「わかりました。Nerevarineの予言について、何かご存知ですか」
「Ashlanderの人々は夢や幻視を予言として解釈するという謎に包まれた伝統を保っています。それら預言者たちは予言を詩として書き留めるか、消えてしまったり誤って伝承されてしまう場合もあります。しかし、反体制派司祭はNerevarineについての多くの昔の予言を収集していますし、彼らの大半は、それが正しいと信じています。それらを総称してThe Lost Prophecies of the Incarnateと呼んでいます。反体制派司祭の、ある宗教団体がこれを収集してこれら予言を研究しています。どうしてTempleが反体制派司祭を弾圧するか? Templeを非難することで教義の正当性を弱め、Dagoth Urの脅威から無防備にさせるから、だそうです。信仰はDagoth Urの虚言かに対抗しようと思う意思によって強まります。信仰はDagoth Urと戦ったTribunalの祝福されし力の糧になります。帝国のために、幾ばくかのDunmerがTempleから離れ、それがDagoth Urを強くしているとも、だからBlightの嵐や、感染した魔物が国を脅かしているのだとも。他には?」
「うーん、司祭になら言っても大丈夫だと思うんですけど、変な夢を見るようになって」
「私には何のことだか。恐らく貴方も理解できないでしょうけれど、Templeは悪夢は魂の病の兆しだとしています――その兆しは精神が悪しき衝動や危険な情動によって穢れているのだと。Ashlanderは夢を盲信していますが、全てに盲信的ですね。魂の病は『狂気』または『精神病』と帝国では言われています。魂の病の兆候は奇妙な夢、情動が制御できないこと、残忍になること、邪悪な行動に走ることです。狂気は、西側の人は病気ではないと思われています。もしかかったら、祝福やヒーラーで直せますので。魂の病はDagoth Urの呪いであり、信仰心を弱めるために、Dagoth Urが送る闇の夢で、睡眠中に攻撃してきます。意思の強い者は抵抗できますが、意思の弱いものはTempleのカウンセリングを受けるべきです」
タコ頭には正直笑いかけたが、呪われたTarer氏にとっては笑い事ではないので、『Aedra and Daedra』という本を受け取ってメイジギルドに向かう。殺人鬼の話とか、本当は情報提供者から情報を収集してからのつもりだったんだが、まあ、殺人事件を何とかした方が俺も安心してAddhiranirrを探しに出歩けるというものだ。
「君の報告を見るに、君が殺したDunmerの女性と我々が与えた情報とは合っているね。Ordinatorは駆け回っていたんだが、けれど君が見つけ出して処刑したんだろうね。街のためになったし、監視事務所のためにもなった、礼を言うよ。さて、約束した報酬を授けよう。Indoril HelmとCuirassか、Belt of the Armor of Godか選べるよ」
「兜と胴鎧は重装で、強い戦士のみうまく使えるだろうね。これらの品は殺されたOrdinatorの一人が着ていたもので、彼を殺した者へ報いを与えてくれた者への報酬としては似合いのものだと思う。だが、Vivec市でこれらの装備を着込まないようにな。Ordinatorやガードだと間違われるから。それに引き換え、Belt of the Armor of Godは魔力の鎧と君に向かってくる呪文への抵抗を向上させて、どんな冒険者にも使えるものだよ。どっちがいいかね?」