Sheogorathの神殿


 おいでませAld Velothi。遠くに見える島が、絶賛開拓中のSolstheimだ。船が出ているが、気力があれば水上歩行か泳いででも渡ることが出来る。まあ、泳いだらDreughに噛み付かれること請け合いだが。


 いざこざに巻き込まれてしまったお陰で、Ald Velothiに着くとそろそろ夕方という時刻に差し掛かっていた。
 幸い、寒村ではあるがOutpostの中に最低限の施設はあるので、今日はここで夕食を買い込んで一泊かなー、と算段して、中に入ると、商売どころの騒ぎではなくなっていた。皆、変に浮き足立っておろおろしている。

「あの、どうかしたんですか?」
「シッ、みんな外れにいるAshlanderがもっと沢山の人を誘拐するんじゃないかって心配してるのよ。あいつら、Madura Seranを連れてったの! ただの巡礼者なのに。誰か助けてくれないかしら・・・」
「Ashlander?」

 Ashlanderは、一応それなりの誇りはあるとは教わってるんだが、最近は行商人や巡礼者を襲う不届き者もいるらしいと聞いたことがある。ふむ。

「ごろつきAshlanderたちは村の丁度南に小さなキャンプを張ってるの。そこに彼女を連れてったのね。丘の上の、木が並んでいるところのキャンプよ」

 一応Ashlanderのメンバーには加わってる身であるし、ちょっとこれは看過できない。こんな寒村だから、Redoranのガードも人数が少なくて対処に困っているんだろう。で、そのキャンプはどこかと、外に出てみたら・・・。


 目と鼻の先じゃねーか!!!
 徒歩三分ってとこだなこりゃ。っていうか、俺、思いっきり近くを通ってきちゃったよ。ああもう、ガードさんも期待してる目で俺をチラチラ見るなよ・・・ああ全くもう、何のために警備してるんだが。
 仕方がないので、Ashlanderの客人として話をつけに行く。少しでも誇りが残っているAshlanderなら、武器を持っていないものをいきなり攻撃することはないだろう。それに、誘拐となると目的は身代金か、別の何か価値あるものと相場は決まっている。騒ぎが大きくなれば、困るのは普通に暮らしているAshlanderだ。早く収束を図ったほうがいい。


「何のようだ、よそ者」

 案の定、警戒した目つきで俺を睨んで来る・・・。
 あ、そうだ、と、たまたま持ってた弓をAshlanderの前に突き出した。

「俺はUrshilakuの族長のSul-MatuulさんからClanfriendとして認められた者だ。これがその証拠。族長から贈られた、彼の父の弓だ。別に脅かしにきたわけじゃない。巡礼者の人を解放してくれないか話をしに来ただけだ。あんたらだって、騒ぎが大きくなるのは嫌だろう」

 しばらく、テントの前にいた二人はどうしようかと見交わしていたが、一人がテントの中に入っていき、ややあって中から、入れ、という声が聞こえた。


 弓をしまってテントに足を踏み入れると、首領と思しき男と、不安げな目で俺を見つめている女の姿があった。

「話は聞いた。この女を解放して欲しいと?」
「ええ」

 いざとなれば実力行使だが・・・と、剣の位置を確かめる俺に、男は尊大な目つきで鼻を鳴らした。

「それは出来んな、外国人。俺たちはこの巡礼者を監禁したままでおく」

 まあ、Ashlanderというのはよそ者を嫌うから、これくらい言われるのは仕方がない。けれど、ここで退いてしまうのもアレだ。
 いつまでも人質を取って何か利益があるわけでなし、俺がここで下がっても、騒ぎが長引いたらいずれGnisisなり、あるいはここら辺をまとめてるAld'ruhnのTempleから武僧なりRedoranのガードさんなりが押し寄せてくるわけだから三人では流石に太刀打ちできないだろう。そうなると、一つしかない命が無くなるわけだ。大体、人質を取って篭城ってのは、余程の戦略か、運がよくないと成功するものではない。それよりは、有る程度のお金あげるからさっさと巡礼者さんを開放して、どっかに身を隠したほうがいいんじゃないの? それに、武器も持ってない普通の人を誘拐ってのはAshlanderの総意ではないだろうし、これをSulさんに報告したら、Ashlanderとしての品位を保つために、名誉を損なうような真似をしたアンタらに死を持って償わせる、とか言うんじゃないかなー、別に、こっちは三人まとめてかかられても返り討ちに出来るんだけどな・・・というようなことを剣を見せつつごくごく穏やかに言ったら、首領の男は顔を青くして、「そ、そんなにコイツに価値があるのか? なら500Drakeで開放してやる」と言ってくれた。


 うんうん、わかってくれて幸いだ。500なら持ち合わせがあるので、それを支払ってMaduraさんを外に連れ出し、一緒に徒歩三分の村に帰る。


「Ald VelothiのOutpostまで連れて頂き、ありがとうございます」

 ほっとした様子のMaduraさんは、何度もそう言って俺に感謝してくれた。ここで休んで、気力を回復させたらまた巡礼の旅を再開するそうだ。一足先に俺は巡礼を終えているので、どこそこにはこんなのがあったよ、と一緒にご飯を食べつつ楽しく話したりなんかした。


 さて。


 あれが、師の言ってた「AshalmawiaのDaedraの祠」だ。まあ、師は見えるまで東に歩けと言ってたから、てっきり多少は歩かなくてはならないくらい遠いもんだと思っていたが、村から思いっきり近・・・いや、何も言うまい。


 Maduraさんとは方向が違うので、ここでお別れして旅を続けることにした。


 山が見えたら、道に沿って南下。そのうち、左手にDaedraの神殿が見えてくる。


 さて。あれがMaelkashishiなんだが、早速遺跡の周辺を彷徨っている炎が。Fire Atronachだ。




 Sheogorathの信者なのか、こっちに向かって呪文を放ってくる人も(泣)
 万が一お仲間を攻撃したことでBulfimの機嫌を損ねることがあってはいけないので、この人にはCalm Humanoidをかけて少し大人しくしてもらった。


 しかしまあ、出るわ出るわ。


 周囲にはDaedraがうじゃうじゃ。慈悲を示すのも一苦労である。ちなみにさっきのDremora、Daedric Wakizashi持ってた。ラッキー。


 さて、神殿の中に入ると、気配を察してこちらを睨みつけてくるOrcの女がいた。しかし、外の信者と違い、そこまでの元気はなさそうだ。この人がBulfim gra-Shugarzだろう。しかし、大分具合は悪そうだな。


「うあっ! 痛みが治まらな・・・ぐあっ!!! 離れろ! 病気なんだ、一人にさせてくれ!」
「Blight?」
「そうだ。灰のもたらす潰瘍をわずらっている。私の顔を見ろ! 私の手を! みんな私を避けているのだぞ。お前も分別があるなら、離れていたほうがいい。みんな病気のせいで怒りっぽくなったと言っている。馬鹿め! お前も私を嘲りに来たのか?」

 ふむ、Sheogorathの信者にしては見境があるなあ。というより、人を襲うほど元気がないのかも。
 幸か不幸か、病気は元々患いにくい身体だし、Corprusの一件で病気にはかからなくなったので、まあさして怖くはない。
 それにしても、Bulfimさん、早速武器に手をやってるわけだが・・・病気のせいで怒りっぽくなったというよか、元々の種族的な気性なんじゃねーのこれ。まあ、こういう人に下手な同情をしたら機嫌を損ねること請け合いなので、さっさと用事だけ簡潔に述べるだけにしよう。

「いや、だったら丁度疾病退散の魔法があるからさー、どう?」
「な、なんだと」

 俺からの思わぬ申し出にBulfimさんはぎょっとしたが、隙をついて呪文を唱えた。すると、見る見るうちに病気が治っていく。

「治癒してくれたことに礼はいっておこう、Yui-Li。私がお前だったら追い出すところだったろうな」

 いえいえー、と言う俺に、Bulfimさんは「探検するつもりなら、奥のやつらに見つからんようにな。喧嘩っ早いから」と親切に言ってくれた。まあ、俺も折角だから探検してみたいものの、殴りあいしにきたわけではないし、透明になれる呪文も心得てるので了承して奥のほうに進んでいった。


 手に杖を持った、人間に良く似た老人の像。これがSheogorathかー。


 吹き抜けから空中浮遊の魔法で上がっていくと、柱に矢が刺さっているのが見えた。こんな硬い柱によく突き刺さってるなー、と不思議に思いながら抜き取って眺めると、どうもDaedric鋼で作られた矢であるらしい。
 ただ、これが刺さっていたのは足場の無い吹き抜け側だ。飛んでいない限り撃ち込むのは不可能だし、高価な矢を石柱に撃ち込むなんて無駄な真似をするだろうか。戦闘のどさくさでどこか別の足場から撃ち込まれたものがたまたま柱に刺さったんだろう、と思って上を見上げてみると、それらしい足場があったので上ってみることにした。


 おっと、これが柱に矢を放った射手だったか。
 綺麗に白骨化しているところからして、大分長い年月が経っているようだ。何故ここにで朽ちる羽目になったかは分からないが、高価な弓矢を持っているからして、生前は名の知れた射手だったのかもしれないな。
 手を合わせて無名の射手の冥福を短く祈り、弓矢を頂くことにした。長剣がメインとはいえ、暗殺者にこんな凄い弓矢転がり込んでくるなんて、偶然とは怖いよなー。


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(2008.11.20)