RamidasのMorrowind探検記 その1
Seyda Neen、Census & Excise Officeにて。
「・・・つまり、研究のためにMorrowindにやってきた、というわけだな」
「はい。私は錬金術や医学の研究をしていまして、この国の植生を調べるために帝国からやってまいりました」
「そうか。うむ。身分証もしっかりしたものだ。帝国の大学に勤めてた立派な人がこんなところに来るなんてねえ。さて、これで君は晴れてMorrowindの一市民というわけだ。最近Vvardenfellは物騒でな、病や怪我には気をつけたまえ」
「ありがとうございます」
「ところで、失礼だが、君はDunmerの割りには人当たりがいいね」
「ええ。よく言われます。ずっと帝国で暮していましたし、私の師匠も人間でしたから。その影響もあるのかもしれません」
「良いことだ。この国は外国人嫌いのDunmerが多いからね。君みたいな人が増えてくれて助かるよ。ここは密輸や海賊を取り締まってる場所柄か、本土からVvardenfellに来るという人をよく迎えるんだがね、君みたいな人が来るというのはかなり稀なんだ。まあとにかく、がんばりなさい」
「はい。まずはVvardenfellをのんびり旅してみたいと思っています」
「そうかそうか。旅といえば、AltmerのArrilleが店を開いているから、旅に必要なものはそこで買うといい。それから、この地の交通機関はメイジギルドの転送サービスと、各地の港から出ている船、あとはSilt Striderが各地を繋いでいる。覚えておくといい」
朝日がいつにもまして目に染みます。泣いても笑っても、これからこの地で生きていくことになることを思うと、感慨深いものがあります。
火山からの病を含んだ嵐のために渡航制限がかかり、船で島にやってきたのは私だけでした。それさえも、貨物船の空いた場所に乗せてもらったくらいです。厳しい地でやっていけるのか、朝の清冽な空気とは裏腹に、期待と不安が心に満ちます。
私はRamidas Lumare。錬金術師というかヒーラーというか、ざっくりと言ってしまえば世間一般でいうところの「魔術師」という職業についています。生まれも育ちも帝国でして、10年ほど師匠の下で修行し、その後推薦を得て大学で学び、そのまま研究者として過ごしておりましたが、諸般の事情によりメイジギルドは脱退しました。どうにもCyrodiilに居づらくなりましたので、MorrowindはVvardenfellの地を踏むことにしたのです。
そういうわけですので、同じ魔術師の集うTelvanni家に仕官しに行こうと思っています。しかし、右も左も解らぬままいきなり仕官しに行くのは無謀ですので、まずはこの地がどんなところなのか、まずは旅をしてあれこれ見て周りたいと思っています。
さて、旅をするには食料などの物資が不足しています。幸い、貯金を全額引き出してきた際の残りは十分にありますので、紹介していただいたArrilleさんという方の店にて、いくらか物資を購入いたしました。私は錬金術の腕もそれなりにありますし、道具も持参してきましたので、薬を作って売り歩けば、それなりに暮していくことも出来るでしょう。私の師匠はたくましい人で、貧しかった頃、メイジギルドに入る支度金を調達するために粗末な道具で薬を作って稼いでいた時期があったようです。
しかし、弟子の私はといえば、逆にギルドを離れてしまったわけでして、苦労してギルドに入った師匠の顔を潰したことだけは残念でなりません。今は師匠もギルドとは距離を置いて半ば世を捨てているとはいえ、元々微妙な立場の人ですので、上層部と仲が悪くならなければいいのですが。
どうにも辛気臭くなりましたね。ギルドの話はこれくらいにしておきましょう。Silt Striderの出発まではまだ時間がありますので、その間に食事を済ませることにしました。この店の二階が居酒屋兼食堂兼宿屋になっているようです。早速行って見ますと、帝国のガードと思われる方やら何やらで、思ったより賑わっていました。
皆さん地元の人のようで、自然とよそ者の私に注目が集まります。私も喋ることは苦手ではありませんし、この島のことなど聞きたいものですから、あれやこれやと話しておりましたが、話題は自然と私の顔にと流れていきました。
ええ、まあこんな感じでして。このような強面なせいか、「話すといい人だとわかるが、外見がちょっと」とよく言われます。刺青については、若気の至りというか、好奇心でやってみたのですが、目は熊にやられまして。襲われた時偶然にも助けていただいたのが師匠との出会いだったのですが、私の傷は深く、治癒魔法や薬学に長けた彼女でも私の目を治すことが出来ませんでした。
それでも命があっただけマシというものです。まだ目は一つ残っていますしね。師匠には恩を抱きこそすれ、恨みなど毛頭ございません。それに、皆さんが私に興味を持つ切っ掛けになってくれるのですから、これはこれでよし、と。
ですが、皆さん申し訳ないと思ってしまわれたのか、話題はまた別の方向に流れて行きました。私の前にこの町にやってきたArgonianが近くの密輸人の巣窟を叩いたとかなんとか。何でも皇帝の恩赦でこの地で釈放されたそうです。
面白いArgonianですね。とはいえ、この国では奴隷売買が公然と行われるほど獣種への差別は強いと伺っていますから、そのArgonianの行く末が果たして良いものであるかどうか。恩赦で釈放するくらいなら、帝国領内で釈放したほうがまだマシでしょうに。
そんなことを話している間に時間が迫って参りましたので、この村を離れることにしました。しかし、このキノコは面白いですね。錬金術を齧る者として、放置しておけません。
そうそう。それと大事なことですが、私は魔術師ですので、肉弾戦のほうは今ひとつです。
師匠は私を助ける際に熊の頭蓋を蹴りで粉砕したものですが、師匠は私とは少し事情が違いますし、あの人もいつもは護衛をつけて、サポートに徹しています。たまたま私を助けたとき護衛を連れていなかったのですね。
要するに、魔術師は殴りあいには向いていないので、代わりに殴り合ってくれる者が必要なのです。肉の盾と言ってしまうと、言葉が悪いのですが。そういうわけで師匠に倣い、Cyrodiilを発つ前にFlame Atronachと召喚の契約を交わしました。試しに召喚してみましたが、帝国を離れてもしっかり契約は働いているようです。
これがSilt Strider。Siltは川や湖に沈む泥、Striderは「大またで歩く」という意味があるそうです。
「川や湖も一跨ぎ」的な意味合いなのでしょう。船が沿岸部を繋いでいるのに対し、Silt Striderは内陸を繋いでいるというわけです。帝国にはこのような超大型の生き物がおりませんので、少し不安に駆られましたが、非常に大人しい気性のようです。身体から飛び出した神経系のようなものに触れることで操縦するとかなんとか。これだけ巨大な生き物ですので、凶暴な動物でも本能的にSilt Striderは襲わないようです。
気ままな一人旅ですので、どこに行こうとも自由です。とはいえ、そうですね。まずはBalmoraに向かうことにしましょうか。親帝国派Hlaaluの街と伺っておりますので、私のような外国人にもそれほどきつくは接しないはずです。
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(2009.4.24)