Ghostgateにて




 いきなり失礼。
 Ald'ruhnでDreamerが図々しくも家を占拠して住人を追い出したという事件があって、Ghostgateに向かうついでに解決して来いと命令されたもので。
 荒っぽい解決になってしまったのは仕方が無い。検分まで付き合うつもりは無いので、後は地元のRedoranのガードに任せた。


 Ghostgateの寺院までは徒歩しかないのがきついんだよなあ。






 一応内部に巡礼地があるし、おまけに最前線なんでBuoyant ArmigerやTempleの兵士たちが駐屯しているため、施設は充実している。
 宿なんかもよさげなベッドがあったり。


 英雄たちの魂をかき集めて作ったGhost Fenceだ。寺院もなかなか広々としている。


 * * * 



「成る程。手伝いに来たというわけだな。それは助かる。話は聞いているが・・・まあ最初だ、そう危険な仕事は出さない」

 紺色のローブを着た赤毛の女性、Uvdo Llaren師がここを統轄している。もっとゴツイ男かと思ってたら意外なもんだ。
 そんな師は、まずは小手調べ、といった感じで俺に仕事を与えてきた。

「追放されたAshlander、Assantus Hansarが病に罹った」

 成る程、これまでどこでもTemple以外の人間に対する病気平癒の仕事は与えられてきたから、特に驚くべきことではないが。

「Templeは改宗を強要しないが、善行は積まねばならぬ。Assantus HansarはGhostgateの南にある追放されたAshlanderの野営地であるAhinanapalの病気のAshlanderだ。彼を見つけて治療すること。追放されたAshlanderは見知らぬ者が近づいてくると攻撃してくることもあるので、彼を沈静化する必要に迫られるかもしれぬ」
「わかりました。行ってきます」

 治癒魔法は覚えているので、まあすぐに済むはずだ。


 ここがそのキャンプ。えらい近くにあるな。
 幸い近づいても襲われることは無かったので、それっぽい顔色の悪そうな・・・Dunmerは顔色が悪いもんだが、その中でもとりわけ悪そうなのを見つけて話しかけた。


「離れろ。病気に罹ってるんだ。お前の助けなど借りぬ」
「えー、そんなこと言わずにー。症状だけでも教えてくださいよー。俺ってClan Friendですしー」

 Assantusはしばらく迷っていたが、俺の人の良さそうな顔とキラキラした瞳を見て観念したようだ。
 いやあ、幻術の練習をすると自分の魅力まで上がっていいね。ただ、カワイイって何故かよく言われるんだが。俺としてはカッコイイと言って欲し・・・いや、話が脱線するから止めよう。

「Droopsの病に罹っているんだ。あまり動けないし、力も出ない」

 Kwamaたちが主に感染する病気だが、勿論人にも感染する。
 症状は魔法に換算するなら30ポイント分の威力を持つDrain Strengsに相当すると言われているそうだ・・・よく立ってられるな。

「Droopsですか」
「ああ、だが俺は追放された。Wise Womanも治してくださらないだろう」
「じゃ、俺が治しても文句は言わないよね」
「やってくれるのか? 薬か呪文で治してくれるのかい? やってみてくれ」
「わかりました。呪文を使うので動かないで下さいね」




「戻ってきたか。どうだったかね?」
「無事に治りましたよ。俺に感謝してくれました。人助けっていいですよね」
「それは何よりだ。同じような病気に罹った時のためにこれを持っておけ」

 そう言ってLlaren師は三本の病気平癒のポーショ・・・またこれか。
 気遣いは凄くありがたいんだけれど、使わないから荷物になっちゃうんだよな。だが捨てたり断ったりするわけにも行かないし、Ghostgateの外に行く機会があったら売るか譲るかしてくるか。

「それで次の仕事だが」
「あ、はい。次は何処に行ってくるんですか?」
「誰かに隠者Sendas Sathisの元に食料と酒を届けて欲しいと思っていたところなのだ」
「配達ですか。まあRed Mountainの中心じゃない限りは大丈夫ですが」

 ならよろしい、と、師はKwanaの卵とMazteそれぞれ四つずつを持ってきた。

「これをSendas Sathisに送れ。彼はSheogoradとVvardenfellの間にあるShuran Islandに暮している隠者だ。Dagon Felまで船に乗って、Rotheranまで進め。Shuran IslandはRotheranの真西にあるのだ。お前の持っているその砦に印をつけよう」

 あ、この前暗殺で通りかかったところだな。あの辺りはこの間暗殺しに行ったから知っているが、Daedraなどの危険な生物はほとんど住んでいない。まあ楽な任務だ。
 Recallの帰還先をまだMorag Tongに設定したままだったので、早速そこからSadrith Moraに行くことにした。ついでに薬置いてくるか。

 しばらく戻ってこないかもしれないと言った手前、仲間に見つかったのが凄く恥ずかしかったが、それはさておき。


「あら、こんにちは。錬金術の材料でも?」
「それもありますが、Sadrith Moraに行こうと思って」
「そう言えば、貴方アレだったわよね。噂を聞いたんだけど、Dark BrotherhoodがMorag Tongを消そうとする準備を進めているそうよ。Night Motherも自らVvardenfellにやってきたって聞いたわ」
「えー、マジですか。気をつけます」
「安全と平和を、って感じ? 気を付けてね〜」


 地元の野生動物(Cliff Racerは本当に素晴らしい存在だね!)を相手にしつつもSirilonweさんから言われたことがどうも耳に残る。
 Sanguineのアーティファクトを集めろってEnoさんからも言われたし、Enoさん自身からもらう命令もDark Brotherhoodを切り崩す命令だった。やられたらやり返すのが裏社会の基本であるからして、抗争が激化するかもしれないことは俺の頭でもわかるんだが、こりゃまた大物が出てきたな。
 前線の指揮にやって来たんだろうが、こちらにとってはチャンスだ。


 さて、そんなこんなやってるうちに隠者さんの野営地についた。質素な住まいだが、島には綺麗な花が茂っている。なかなか風光明媚なところだ。
 向かいにはAshlanderのキャンプが見えるけれど・・・まあ、どっちも大して気にはしてないのだろう。Templeも敵を弾圧する一方で塩を送るようなマネをしたりとか、微妙によくわからない組織だよな。或いは、穏健派と武断派の間で統制が取れていないのかもしれない。


 キャンプから少し歩いたところで、Sendus Sathisさんらしき人がのんびり歩いていたのが見えた。人が来たことに少々驚いているようだったが、のんびりした態度で挨拶してくれた。

「おや、こんにちは」
「こんにちは。Ghostgateの寺院からUvdo Llaren師の使いで来ました」
「そうか、自己紹介がまだだったな。私がSendus Sathisだ。どうしたんだね?」
「あ、これはどうも。Yui-Liと言います。師から、食料とお酒を持っていくようにと言われました」
「ああ、誰かがそろそろ来る頃だと思ってたよ。君が運んで来てくれたのかね?」

 話からすると、定期的にここに人が来てるんだな。無事の確認も兼ねてるのかも知れないが。
 卵と酒をSendusさんに渡して、中身を検めてもらった。

「これなんですけれど」
「またKwamaの卵が来たのか? ああ、私のような年寄りの隠者にTempleが援助してくれることを感謝しなくてはね」

 うーん、半裸で過ごしているところからして、年寄りには見えないけれどね。
 あと百年くらいは余裕で生きるんじゃない? なーんて。


戻る      進む

(2009.8.1)