Keeningの禍


「それは本物のSt. Felms the BoldのCleaverだな? Templeのために返却してくれないだろうか」
「遺体の状況やエンチャントからして本物だと思います。どうぞ」

 師は、聖遺物が戻ってきたことを喜びながらもどこか浮かない顔で「肉切り」を受け取った。
 それもそうだな。人も死んでるし、遺体もそのままだ。俺も運び出してきちんとしたところに埋葬してやりたいのは山々だが、重い身体を抱えて魔物たちと戦いつつ、町や寺院まで運ぶなんてことは出来ない。
 いずれ遺体を運び出して埋葬できたらいいんだが・・・。


 * * *





 見えてきた。Odrosalだ。
 Tureynualと寺院の間にはDwemerの遺跡がもう一つある。目的地であったTureynualではないので無視したが、先の『Kagrenac's Planbook』の件もあるので、師に許可を得て個人的な興味で探索してみることにしたのだ。


 扉には「Dwemer Training Academy」と書かれていた。つまり訓練場だ。
 訓練場らしく、机の上や棚には手付かずのDwemer製の武器が多く放置されている。かつては、Dwemerの戦士たちがここで鍛錬をしていたのだろう。機械ばかりに頼っていたというわけではなさそうだ。
 でも、訓練場だから大したお宝は無いかもしれないな。話を聞く限り、Kagrenacは戦士って感じじゃないし。


 ・・・Dreamerが死んでいる?


 不穏な気配を感じて身を潜めながら周囲の様子を伺ったが、先の広間に誰か立っているらしいことが分かった。


 男? 黒と赤の装備に身を包んでいる。
 普通の冒険者じゃ・・・。


 ないよな、やっぱ!


 素性は知らないが、攻撃力だけなら俺のDai-Katanaよりも上のDaedra製クレイモアを振り回して襲い掛かってきた。


 幸い、振りなら俺の刀のほうが早いので隙を見つけて掻い潜ることが出来たが、ロクな準備もせず攻撃を受けてたら死ぬところだった。柔い剣だったら確実にへし折られてたな。
 地下には、こいつの兜と日記があった。まあ、結論から言えば、悪いのはやはりDagoth Urというところか・・・。


 そして、ここを仕切っていたのがDagoth Odrosal。
 しかしまあ、どうしてこう、House Dagothの奴らは裸が好きなんだ?


 上からFire Atronachの攻撃が振ってきたが、柱を盾にしながら立ち回れば挟み撃ちにならずに済む。


 House Dagothの奴らも掃討したことだし、Ghostgateには鍛冶屋があるんで刀と鎧の修理費代&手間賃に宝石とか金目の武具の一つでも頂くことにした。
 うろうろ歩き回っていると、梯子があることに気付いたので、注意を払いつつ部屋に入った。


 最初はそれが何なのかわからなかった。ただ、その強い魔力を放つ小ぶりな剣は、見た目も美しいことながら、奴等の祭壇の中央に安置されていることからして、貴重なものであるらしい。
 引き抜いて目の前にかざすと、「Keening」という銘が見えた。どこかで聞いた銘だな。うーん、Dwemer先生の宝物ガイドだったかな。


「何だこりゃ。Constant EffectでFortify Magicka 50、Fortify Health 30、Fortify Attack 30、Fortify Agility 20、Fortify Speed 20?
 一体どこの化け物魔術師がこんなエンチャ・・・」


「!?」


「な・・・」




戻る      進む

(2009.8.5)