推薦状と物忘れ


 次にやってきたのはSkingrad。石造りの堅牢な街で、魔法使いだという領主も、人前に姿を現さないという割にはなかなか評判が良い。


 ここの支部長は、カリカリした御仁、Adrienne Berene師。忙しいらしく、無駄に話しかけると攻撃的な物言いをされる。流石は攻撃魔法を扱ってるだけあるな(?)

「推薦状を貰いに来たんですが」

 師は溜息をついて俺を睨みつけた。

「私は研究で忙しいの。でも、そうね。ここの魔術師のErthorにちょっとした問題があって」
「わかりました。何でもお引き受けしますよ」
「よろしい。彼を探す時間が無いけど、貸したノートのことで彼と相談したい事があって。彼がどこに行ったか探してくれないかしら」
「はいはい」


 聞きまわってみると良いだろうと言ってくれたので聞いてみると、Sulinusさんが彼のことをよく知っていた。何でも、「とんでもScamp事件」が去年あって、そのせいでAdrienne師に別の場所、つまり遠くで練習するように言われたそうだ。召喚魔法でもやってたのか。それで。「どっか遠くの場所」、Bleak Flats洞窟に住むようになって半月に一度姿を見せるのだが、最近彼を見ていないらしい。


 洞窟がどこにあるのかSulinusさんは知らなかったが、Drujaさんは知っていて、地図にマーキングしてくれた。Skingradからほど近い場所にある洞窟らしい。何だ、結局師が彼をそこにおいたのか。
 俺は二人に礼を言うと、Adrienne師にこのことを話しにいった。けれど、何かイヤな予感がするな・・・。これまでの経験からして。


「ああ、そういえば彼にそこに行くように言ったのを覚えているわ・・・ふむ、あなた行って来てくれないかしら。ファイヤーボールのスペルあげるから」

 俺の予感は的中した(泣)

 しかしこれをこなさないと推薦してもらえない。俺は泣く泣く件の洞窟に赴くことになった。まったく、Erthorめ・・・。


 ここがその洞窟。


 が・・・何故かゾンビの巣窟になっていた。
 まさかErthorもここで仲間になっていないよな・・・だったら俺が切り殺さなくちゃならんくなるだろ。


 燃やして燃やして燃やして焦がして焦げてー♪


 斬って叩いて壊して燃やしてー♪


 ゾンビは消毒だー! ってなわけで洞窟内のゾンビを殲滅した。


 幸い、ゾンビが湧いたせいで帰るに帰れなくなったWoodElfのErthorは、俺を見かけると近づいてきた。とりあえずスケルトンかゾンビになってしまうという事態は避けられたようだ。

「私も同行させてもらえないかな? そのほうが安全だと思うし・・・どうだろう?」
「あのな、いつも一人で往復してるんだろ。がんばって一人で帰れ。道は掃除してきてやったから」

 何か呟いていたが知らん。俺はさっさと帰った。


 ま、ちゃんと一人で戻れたがな。
 俺は「そのうち」推薦状を書くという彼女の言葉を信じて、最後の街、Anvilに行くことになった。


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(2007.1.8)