Daedraの野太刀と鎧


 帝都に何か手紙が投函されていないかと帰宅中。
 どうでもいいが、南部と言うだけあってLeyawiin周辺は雨が多い。帝都は結構南北に伸びてるので、所変われば気候も変わる。俺はArgonianなんで雨は構わないんだが、視界が悪くなるのがアレだ。道にたむろしている山賊の類や獣はムンスの足で振り切れるし、いちいち相手にするのも疲れるので、さっさと帝都に帰還する。


 買えると、案の定と言うべきか、手紙が投函されていた。

 In-The-Nightへ。
 
 この手紙を確認したら、Chorrolの修道院に向かうこと。
 詳しくはPinterに話を聞け。

 Jauffre


 何があるのか全く書かれていないのがなんじゃらホイと思ったが、まあ正反対の方向と言うわけでもないので、一晩ぐっすり眠るとChorrolを目指した。


「やあ、その後お変わりありませんでしたか?」
「こっちはね。Mythic Dawnのスリーパーが大分片付いたかな。それより、ここに襲撃とか来てる?」
「いえ。あの後からさっぱり。一応平和でいいんですけれどねえ。ここを攻めても旨みが無いことに気付いているんでしょう。それより、門を開けたほうが良い、と」
「門ねえ・・・」

 各地でじわじわと門が増えつつある。帝都兵やタウンガードの腕は良い。防衛側の方が地の利もあるし、かなり凌げてはいる。ただ、一度に現れる数は少ないとはいえ、敵勢力は人間の身体能力を大幅に超えている。このままではジリ貧の状態だ。それに、Oblivionの侵攻を受けているのはCyrodiilだけじゃない。Morrowindでは、Ald'runが壊滅したとかしないとか・・・。一応Protector of Morrowindである身としては、この戦いを勝利に導かなくてはならない。ホント、みんな、生きてるかな・・・ギルド間の勢力争いとかもあったし、悪い人も沢山いたけど、いい人も沢山いたMorrowindが懐かしい。神様のオミチビキってやつがMorrowindを守るために俺をここに連れてきたんなら、いい勘してるとは思うが、流石に俺の精神もまいってきたぜ。

「ああ、そうそう。Jauffre様から伝言が」
「伝言?」
「ええ。Chorrolの方で行方不明事件が多発してるので、調査すべし、と。これくらい手紙に含めればいいんですけれどねえ、どうしてJauffre様はわざわざ何も言わずにあなたを送り出したのでしょう。それで、自分なりに調査したところ、不審な小屋を見つけたので行って頂きたいのです。表向き私は司祭なので長くここを開けるような派手な行動はとれませんし、一気に二人も人がいなくなってしまいましたので」
「よし、分かった」


 道中は、野生動物くらいで、さしたる問題は無かった。


 ここか。森の中に、ぽつんと佇む小屋。怪しすぎる。


「お邪魔しまーす・・・って、誰もいないのか?」


 それでも人が住んでいる気配がする。蝋燭に灯りが揺れていることが何よりの証明だ。


 樽などには錬金術の材料が詰まっている。住人は人嫌いの魔術師の類なんだろうか。


 ただ、錬金術の材料の乗っかっている机の上に、人間の心臓まで置いてあるのが気に掛かる。裏ルートを使わないとあまり手に入らないものだ。


「うわっ!」

 いきなり毒ガスを食らって、俺は飛びのいた。


「Oblivionの植物・・・?」

 こんなものがここに生えているということは、Oblivionとこの場所が近いことを意味する。周辺には、Oblivionの門は無かった。ならば、この落とし戸がどこかに通じているのだろう。
 俺は意を決すると蓋を開いて中に入ったのだが、梯子を降りきるかきらないかで、頭に鈍器のようなものを一発食らった。
 視界が急激に暗黒に染まる中、Dunmerの姿が見えたような気がする・・・。



「なんじゃいここは!」


 目を覚ましたら、台座に寝かされていてDremora Loadが俺を取り囲んでいてClanfearをけしかけようとしている寸前だった。咄嗟の勘で素早く体を反転させ、ここぞと思う場所に蹴りを入れると、顎の骨が粉砕される手ごたえがあった。しかしこのままでは多勢に無勢。しかも寸鉄も帯びていない状況。手数を増やすために召喚でClanfearを呼び出し、盾の呪文を唱えて重装ガチガチなDremoraを相手する。




 血塗れの石台には、人間の心臓やら肉片やら骨やら皮膚やら、おぞましいものが散らばっている。Flesh Podには犠牲者の衣服。ここで何があったか想像するに難くない。


 ここはOblivion。多分、気絶させられている間に運ばれてきたのだろう。どこかに出口があるはずなのだが。しかし、装備を取り返したいもの。Dremoraの死体から剥ぎ取って応急的に装備したはいいが、元のBlack Mailの方が好きだな・・・。




 洞窟を抜けると、塔らしい場所へと繋がっていた。最上階まで上れば脱出手段を確保できよう。


 幸いなことに、途中で俺の装備が手付かずでこの中に納められていた。やはり慣れたもののほうが良い。着ていた鎧を脱ぎ捨ててもとの鎧に着替える。Daedraの鎧は結構な値で売れるので、持ちきれる分は持っておくが、持てない分はこの中に放り込んでおいた。


 しばらく進んでいくと、扉の向うからこれまでとは違う、威圧的な雰囲気が押し寄せてきた。ここが終点か。剣を引き抜いて、襲撃に備える。


 扉を開け放つと、何も無い場所から攻撃を受けた。よく見ると、空間が揺らいでいる。揺らぎの大きさからしてXiravi。体格があり、魔術もこなす戦士だ。

「だーもう透明化かよ、この卑怯者!!!」


 アタリをつけて切り結んでいくと、奥から明らかに装いが異なるDremoraが現れた。恐ろしい兜で顔を覆い、漆黒の鎧に大刀を持って容赦なく切り刻んでくる。


 Xiraviを斬ってもまたコイツが召喚してくるので、ダメージは無視して突っ込む。足で胴を蹴飛ばしてバランスを崩させたところで首と胴の繋ぎ目を狙って突きを入れる。狙いは過たず、頚動脈を切断されたDremoraは血を撒き散らして刀を取り落とした。


 鎧を剥ぐと、フツーにDremoraの顔だった。刀と装備一式を頂いて、ついでに特殊なジェムとSigil Stoneも持っていたのでそれを頂いていく。


「ポータルだ」

 さっきのジェムがポータルに反応して、ポータルが使えるようになった。ここから地上に帰還できるのだろう。


 ・・・が、明らかに地上へ戻ってきたのだが敵に取り囲まれていた。なんとか斬り飛ばして地上への出口を探っていると、Dremoraとは毛色の違う男が飛び出してきた。


 この男がDremoraをここに引き込んだらしい。
 召喚斧でこちらに攻撃をしかけてくるが、見た目どおりの魔術師であるため、距離を詰めて滅多切りにするとすぐに動かなくなった。


 これで行方不明者もいなくなるだろう。
 俺は主を失ったベッドで一休みして、ほっと溜息をついた。しかしまあ、一歩間違えたら死んでいたな。特に装備を取り上げられるのはまずい。たまたま素手でもそこそこいけたから良かったようなものの、他に何か手がないものかなあ。


 しかし、それでもDremoraの黒い鎧と、Daedric-Nodachiの美しさは素晴らしい。危うくAzura様の御許に逝くところだったが、これを手に入れることが出来ただけでも死に掛けた甲斐があったかもしれないな。


戻る      進む

(2007.4.26)